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Avant propos

2025.05
初めてフランスの紅茶に出会ったとき、「お茶の国から来た日本人が、なぜフランスの紅茶に興味を持つの?」と、不思議がられました。

「ほら、これはみんなキミの国のものだろう?」と見せられたのは、茶釜に湯飲み茶碗、鉄瓶・・・・。確かにそうだけれど、当時の自分にはあまり馴染みのないものでした。「日本人は、皆、セレモニー・ド・テ(茶道)をして、お茶の時間を大切にしているんだってね。」うらやましそうに訊ねられたのを覚えています。


忙しい時こそ、ちょっとしたお茶の時間を大切に楽しむ、ということをフランスで学びました。一杯の紅茶が、どれだけ気持ちをリフレッシュさせてくれることか。温かい紅茶が、カラダの奥までじんと沁みてゆく感覚。カップから漂う心地よい香り。ゆったりと穏やかな時間。日本人である自分の忘れていた感覚が、遠い異国で目覚めました。


フランスは、世界で一番多様なお茶を楽しむことができる国。そして、自由に柔軟に、お茶を楽しむ文化が発達した国でもあるのです。


彼らは食事に合わせてワインを選ぶように、お茶を選びます。たくさんの種類の中から、味や香りはもちろん、飲みたい時間や場所、一緒に楽しむ人を想像して。お茶を選ぶということ、それは、新しい世界を発見できる喜びです。


フランスの紅茶と出会って、たくさんの人と人が繋がり、様々な場所へ出かけました。フランスの紅茶が、私を楽しく実り多い旅へと誘ってくれました。



2007年10月